
「飲むだけで痩せる」って本当?今注目のGLP-1ダイエットとは
「飲むだけで食欲がなくなる」「注射1本でみるみる痩せる」——そんな噂をSNSや美容クリニックの広告で目にしたことはありませんか?
最近話題の“GLP-1ダイエット”は、医療機関で使われてきた「痩せホルモン」とも呼ばれるGLP-1という成分を活用した、新しいダイエットアプローチです。
もともとは糖尿病治療薬として開発された医薬品ですが、その副次的な効果として「自然と食欲が減る」「満腹感が長く続く」といった変化があり、結果として体重が減る人が多いことから、美容・ダイエット目的でも注目されるようになりました。
とはいえ、「本当にそんなに簡単に痩せられるの?」「副作用は?」「薬ってちょっと怖い…」と感じる人もいるのではないでしょうか。さらに、「毎月どのくらい費用がかかるの?」「その金額に見合う効果はあるの?」と、コスパが気になる人も多いはずです。
この記事では、GLP-1とは何か、どんな薬があるのか、どんな人に合っているのか、そして実際に痩せるのか——そんな疑問にひとつずつ丁寧に答えていきます。
“魔法の薬”のように見えるGLP-1。でも、その実態を知ると、意外と現実的で冷静な判断が必要なことも見えてきます。
次のセクションでは、まず「GLP-1とはそもそも何か?」から解説していきます。
【GLP-1とは?】痩せホルモン“インクレチン”の正体と働き
GLP-1とは、「グルカゴン様ペプチド-1」というホルモンのこと。聞き慣れない名前ですが、実は私たちの体の中でもともと分泌されている、消化や血糖コントロールに関わる“インクレチン”と呼ばれるホルモンの一種です。
GLP-1は、食事をとると小腸から分泌され、主に次のような働きをしています:
- すい臓に働きかけてインスリンの分泌を促進する
- 血糖値が急激に上がるのを防ぐ
- 胃の動きをゆるやかにし、満腹感を持続させる
- 脳の満腹中枢に働きかけ、自然と食欲を抑える
つまりGLP-1は、「食べすぎを防ぐ」「少ない量で満足できる」といった“太りにくい体の感覚”を作るサポートをしているホルモンだといえます。
このGLP-1の働きに注目して、体内で分泌されるGLP-1を模倣するように作られたのが、GLP-1受容体作動薬(リベルサスやサクセンダなど)です。
もともとは糖尿病の治療薬として使われてきましたが、「自然と食欲が減る」「食事の量が無理なく減る」などの効果から、肥満治療や美容目的でのダイエットにも応用されるようになりました。
ただし注意したいのは、脂肪を直接燃焼させる薬ではないということ。あくまで、「少ない量で満足する」「間食したい気持ちがなくなる」など、“食べ方”の感覚を自然に変えることで体重減少につなげるというのがGLP-1の特徴です。
【GLP-1ダイエットとは?】その働きを“薬で再現”する治療法
GLP-1ダイエットとは、体内のGLP-1というホルモンの働きを医薬品の力で再現し、食欲や血糖のコントロールをサポートする医療ダイエットの一種です。
GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬を使うことで、体の中でGLP-1が活性化しているような状態を人工的に作り出します。その結果、以下のような反応が起こりやすくなります:
- 胃の動きがゆるやかになることで、少量の食事でも満腹感が長続きする
- 脳の満腹中枢に作用し、食べたいという気持ちが自然とおさまる
- インスリンの分泌をサポートし、血糖値の急激な上昇を防ぐ
こうした作用によって、無理に我慢したり、極端な食事制限をしなくても、「食べすぎない」状態を保ちやすくなるというのが、GLP-1ダイエットの特長です。
また、GLP-1の働きは、血糖値が高いときにのみ作用するため、インスリンの分泌が過剰にならず、低血糖のリスクが比較的低いという安全面での利点もあります。
ただしこれは、あくまで“補助”のための医療行為であり、「何をしても痩せる魔法の薬」ではありません。薬を使っていても、生活習慣や食のクセを見直すことは大前提。GLP-1は、そのきっかけづくりや、変わろうとする人の背中を押すようなサポート役として活用されるものです。
【薬の種類と特徴】飲む?打つ?自分に合った選択肢を知る
GLP-1ダイエットで使われる薬にはいくつかの種類があります。大きく分けると、飲み薬タイプと注射タイプがあり、それぞれに特徴や使い勝手、効果の感じ方が異なります。
以下は、美容クリニックなどでダイエット目的でも使われる主なGLP-1薬の一覧です:
飲み薬タイプ|リベルサス(セマグルチド)
- 投与方法:1日1回、空腹時に服用(食前30分以上空ける必要あり)
- 特徴:唯一の経口GLP-1薬。注射に抵抗がある人にも人気
- 効果:食欲抑制はあるが、注射薬よりはややマイルドな印象という声も
- 費用目安:約8,000〜15,000円/月(オンライン診療での相場)
注射タイプ①|サクセンダ(リラグルチド)
- 投与方法:毎日1回の皮下注射(専用ペン型)
- 特徴:肥満治療薬として承認あり(日本では自由診療)
- 効果:食欲が大きく減ると感じる人が多いが、副作用も出やすい傾向あり
- 費用目安:約30,000〜50,000円/月
注射タイプ②|オゼンピック(セマグルチド)/トルリシティ(デュラグルチド)
- 投与方法:週1回の皮下注射
- 特徴:もともと糖尿病薬だが、ダイエット目的でも使用されることがある
- 効果:食欲抑制、胃排出遅延による満腹感の持続
- 費用目安:約20,000〜40,000円/月(※施設により差あり)
次世代注射タイプ|マンジャロ(チルゼパチド)
- 投与方法:週1回の皮下注射
- 特徴:GLP-1に加えてGIPというもう一つのホルモンにも作用する“デュアルインクレチン”薬
- 効果:GLP-1単独薬よりも高い体重減少が報告されており、次世代型として注目
- 費用目安:約25,000〜45,000円/月
💡どれを選べばいい?
「飲み薬で始めたい」「注射でも強めの効果を求めたい」など、自分のライフスタイルや希望に合わせて選択肢を考えることが大切です。
ただし、いずれの薬も医師の診察が必要であり、体質や副作用の出方によって合う・合わないがあります。
費用面では、継続できる金額かどうかも大切な判断ポイント。初めての人は、比較的手頃なリベルサスから試すケースも多いようです。
タイプ | 商品名(成分名) | 特徴 | 月額の目安 |
---|---|---|---|
飲み薬 | リベルサス(セマグルチド) | 初心者向け/注射が苦手な方にも | 約5,000~15,000円/月 |
注射薬① | サクセンダ(リラグルチド) | 毎日注射/効果の実感が早い人も | 約30,000~50,000円/月 |
注射薬② | オゼンピック(セマグルチド) トルリシティ(デュラグルチド) |
週1回注射/食欲抑制・満腹感持続 | 約20,000~40,000円/月 |
次世代注射薬 | マンジャロ(チルゼパチド) | GLP-1+GIPのデュアル作用/体重減少量が多い傾向 | 約25,000~45,000円/月 |
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